昨今は若者などの間で「自分たちが高齢になったときにはもらえないから」と払おうとしない人が増えているようです。しかし、これら年金は国が保障している国民の権利で、全てが年金の保険料で賄われているわけではなく国の税金も補てんし、きちんと払った人であれば受け取ることができるようになっています。ちなみに、税金からより多くの人が年金制度の仕組みを理解し、きちんと年金保険料を納めていく社会をつくることを若い人にも教えていくことが大切だと思います。
それでは公的年金について少し詳しく触れていきます。
年金はよく家に例えられ2階建てや3階建と言われ、老齢基礎年金となる国民年金の1階部分と、1階の土台の上に老齢厚生年金などの2階部分や企業年金などの3階部分が追加される形で受け取ることになります。但し、2階部分の老齢厚生年金、3階部分の企業年金などは、加入条件を満たしていないと加入することも受け取ることもできません。
国民年金は、年金を受け取る際の老齢基礎年金部分となる年金で、20歳以上の全ての人が支払わなければならないものです。この国民年金には、1号被保険者から3号被保険者まであり、自分の就業形態や学生などの身分によって区別されます。
1号被保険者 | 20歳以上60歳未満の自営業者、農林漁業従事者等の個人事業主や学生など。自身で国民年金のほかに、国民年金基金や確定拠出年金などに加入しなければ、老齢基礎年金のみの受取となる。 保険料は、平成 27年現在の月額15,590円となっている。 |
2号被保険者 | 民間の会社員や公務員など。会社員は老齢厚生年金、公務員は老齢共済年金。 就業した時点で、企業や地方団体などの組織で構成されたものや協会けんぽによる厚生年金保険に加入し、年金保険料を給与から天引きされる。保険料は、給与により負担額が変わる。 年数を満たすことで老齢基礎年金と老齢厚生年金(共済年金)を受け取ることができる。 |
3号被保険者 | 2号被保険者に扶養されている20歳から60歳の配偶者。 保険料の負担は2号被保険者が負担するので、支払いがない代わりに受け取る年金も老齢基礎年金しかない。 |
国民年金のみ加入されている方や3号保険者の場合、ご自身が60歳以降受け取ることができるものが国民年金のみとなり、平成27年度の老齢基礎年金額は780,100円となっておりそれだけで生活をすることは難しいと思われます。将来受け取ることができないと思っている若い方もきちんと年金をかけておかないと、実際問題自分が受け取ることのできる年齢になった時にどうすることもできなくなります。
ちなみに将来は減るかもしれないと思われている年金ですが、物価・賃金の変動に応じて年度ごとに改定されるようになっています。ちなみに平成27年現在受け取ることのできる老齢基礎年金は、前年に比べてプラス0.9%増となっています。
国民年金保険料を支払うことができない状況の方には、免除や納付猶予などの特例措置もあります。その他学生の場合も特例制度が設けられています。
来るべき時のために、きちんと納めておくことも一つの終活だと思います。