遺言の種類
遺言の種類
遺言には、いくつかの種類があります。遺言を残すための方式が法律によって定められており「特別方式」「普通方式」と2種類あります。但し、「特別方式」の遺言については、「普通方式」の遺言が不可能な時にしか認められないので、終活を考える上での遺言は「普通方式」が一般的です。
特別方式の遺言
特別方式の遺言は民法によって定められているもので、病気や不測の事故、船舶での遭難事故や、伝染病のため行政処分により隔離された場合など、様々な事情で生命が切迫した状況の時のみ認められる遺言の方式です。
普通方式の遺言とその種類
普通方式の遺言には、以下の3種類があります。
自筆証書遺言
自筆証書遺言は、一番簡単に作ることのできる遺言ですが、言葉のとおり自分の手で書き記す形の遺言で、ワープロ・パソコンなど機械で印刷した場合は、当然効力を有しません。遺言は、法律で書き方・条件が定められていますが、自筆証書遺言は書き方条件だけではなく筆跡までを含めて本人のものかどうかを判断し、その遺言が有効かどうかを見定めるので、遺言を残す手段として確実な方法とは言えません。家庭裁判所の検認手続きが必要となるので、家族が葬儀後の手続きで忙しい状況を考えるとわずらわしい方法でもあります。
公正証書遺言
遺言の中で一番安全確実な方法と言われ、この公正証書遺言の原本は公証役場に保管されます。もし、故人から遺言書を書いたと聞いていたのに、見つからないという事態になっても、公証役場へ行けばその内容を確認することができるので、遺産相続手続きもスムーズに行うことができます。ちなみに、宇部市・山陽小野田市で一番近い公証役場は、宇部市寿町3丁目8-21にある宇部公証人役場になります。
秘密証書遺言
秘密証書遺言とは、その名の通り遺言の内容を秘密にしたまま、遺言の存在のみを公証人に証明してもらう遺言です。公正証書遺言との違いは、存在のみを証明する秘密証書遺言は、内容を人に知られてしまうことがないということです。そして、その遺言が本物であることは公証人が証明してくれるので、本物かどうかわからないせいで遺族同士の争いが起こるということもありません。
但し、気を付けなければいけないのは、公証人は遺言の「内容」まで確認するわけではないので、遺言の要件を満たしていなかった時には無効となってしまいます。
そして、遺言者が亡くなって秘密証書遺言を開封する際には、自筆証書遺言と同じく、家庭裁判所へ届け検認手続きを受けなければいけません。ご葬儀後の手間は自筆証書遺言と変わらず、生前に公証人役場へ出向いて手続きも必要なので、この秘密証書遺言方式で遺言を残す方は少ないようです。
遺言の種類
自筆証書遺言
公正証書遺言
秘密証書遺言
作成者
遺言者本人
公証人
遺言者本人
二名以上の
証人・立会人が必要
二名以上の
証人・立会人が必要
署名捺印
遺言者本人のもの
遺言者・証人・公証人のもの
遺言者本人のもの
日付
作成年月日の明記が必要
本人・証人ともに実印
(公正証書遺言の作成時に印鑑証明書が必要)
本人は遺言作成時に押印した印鑑
証人は実印か認印
作成手数料・
公証人手数料が必要
不要
偽造・改ざんの恐れがあるので封入をおすすめ
原本は公証役場で保管
正本は遺言者本人が保管
検認手続
必要
不要
必要
秘密を保つことは可能
安全な保管に難あり
保管は確実だが
秘密が漏れるおそれあり
保管も確実で秘密も保てるが、内容に不備があるおそれあり
それぞれの方式に、特徴とメリット・デメリットがありますが、安全で確実に遺言を残したいのであれば、専門家である弁護士・行政書士・司法書士などへご相談し、公正証書遺言という形で残すことが一番良いと思われます。
公正証書遺言は、公証役場へ行けばすぐに作れるわけではありません。遺言を作成しようと思い立ったら、あらかじめ資料・書類を準備し、遺言に残す内容をまとめておくことで、弁護士・行政書士・司法書士へのご相談や公証役場での遺言書作成がスムーズに進みます。準備しておくとよいものについては遺言を作成する際に準備しておくとよいものをご参考下さい。